最終更新日 2018/04/16

チェーンストークス呼吸

チェーンストークス呼吸とは・・・

チェーンストークス呼吸(ちぇーんすとーくすこきゅう、Cheyne-Stokes respiration、periodic respiration)とは、呼吸が徐々に増大と減少を繰り返し、最も減弱したときにしばらく停止しているような周期的な異常呼吸である。

まず数秒から数十秒の無呼吸がみられ、その後浅い呼吸が始まり、徐々に深い呼吸となる。その後再び浅い呼吸に戻って呼吸停止となる。このサイクルを30秒から2分程度で繰り返すことが多い。

正常呼吸の換気量は、延髄の呼吸中枢にある化学受容器で感受されている動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)によって主に調節されている。

何らかの原因により、この動脈血二酸化炭素濃度分圧が高い状態が続くと、重度の呼吸性アシドーシスとなり、pHの低下とCO2の鎮静作用により、意識障害と呼吸中枢の感受性低下による自発呼吸の減弱が生じ、二酸化炭素ナルコーシス(炭酸ガスナルコーシス、CO2ナルコーシス)という状態になる。

意識が明瞭な時は、頻呼吸努力呼吸酸素を取り入れようとするが、睡眠時や意識レベル低下時は、より動脈血二酸化炭素分圧が低下した状況にならないと呼吸が必要だと判断されなくなる。少しずつ呼吸が大きくなり1回換気量が増えると、がこれ以上の酸素は必要ないと勘違いを起こす。すると呼吸が小さくなり無呼吸状態になり、これを繰り返してしまう。

このチェーンストークス呼吸を繰り返すうちに、二酸化炭素ナルコーシスがさらに進み、意識レベルは低下して朦朧状態となり、意識消失による舌根沈下や窒息、呼吸のさらなる低下から呼吸停止につながり死に至ることもある。

チェーンストークス呼吸が見られる疾患としては、中枢神経疾患、アルコール中毒、モルヒネ中毒、脳血管障害、心不全腎不全(尿毒症)、各種疾患の末期などにみられる。

執筆: 﨑尾浩由

那須赤十字病院 第二内科部長

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