最終更新日 2018/05/31

ファウラー位

ファウラー位とは・・・

ファウラー位(ふぁうらーい)とは仰臥位で下肢を水平にしたまま上半身を45度程度上げた半座位のことである。この角度が90度の場合を座位、15~30度の場合をセミファウラー位と呼ぶ。そのままでは身体がずり落ちてしまうため、頭を起こす前に足を軽度起こしておくことが重要である。

【目的】
本来は腹部の手術後にドレナージを促進させることを目的とした体位だが、腹部臓器による肺の圧排を軽減することから呼吸機能の改善や体位ドレナージ、経管栄養時の逆流防止の目的にも用いられる。 

【注意点】
長時間、同一部位(坐骨結節部など)が圧迫されることによって褥瘡ができる可能性があるので適宜体位分散を図る。麻痺がある場合には時間の経過とともに身体が傾いてくるため、バスタオルなどを用いて支える。基本的には2時間以内おきに体位変換をする必要があるが、患者の病態や骨の突出具合などで異なる。褥瘡が発生するリスクが高い患者には、予防的に体圧分散器具を使用する。 脳梗塞急性期、骨盤骨折や椎体骨折などのベッドをギャッジアップできない特別な理由がある場合を除き、ファウラー位以上を保つことは仰臥位と比較して離床につながり、人工呼吸器患者では人工呼吸器関連肺炎の頻度が軽減する。

執筆: 江角 亮

三重大学医学部附属病院 救命救急センター医員

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